母の闘病記 ビデオ面会編

 今日は母の兄のAさんとビデオ面会をしました。


結果は


母はAさんのことを覚えていませんでした。


二日前までは、Aちゃんと言っていたのですが、


「だれだぁ? わかんないな」


「東京のAです。」


「うーん? わかんないな」


「おにいちゃんやで Aちゃん おにいちゃんよ」



Aさんはここで言葉が出なくなってしまいました。


そりゃそうですよね。


妹に忘れられてしまったという事実はかなりの衝撃でしょう。



母はこれまでの面会時には、必ず


Aちゃんは****」


Aちゃんの****」


Aさんの名前を出していました。


こんな結果になるとは思っていませんでした。





Aさんは


「何を話していいのかわからない・・・・」


「名前とかは忘れちゃってるので、普通の会話をしてみてください。


コミュニケーションはとれるので」


「・・・・・・・・」


私は、母と面会時間いっぱいの20分会話が続くのですが、認知症初体験の方々にはハードルが高かったようです。



「ごはんたべてますか」


「ごはん どうしたっけ?」


「食べたよな」


「どうだっけ」



「・・・・・・・・・・」


沈黙が続きました。



事前に


「母はいろいろ忘れている事をもどかしく思っているので


『覚えてる?』は禁句です」とお伝えしていました。




沈黙を破って



Aの娘のA子です」


「富山のO町で育ったAです」


Oざわ S子わかりますか」


「あなたのお母さんの****」


などなど


『分かりますか』のラッシュが始まりました。


まあ、普通の人はこうなりますね。



それはNGなの・・・・やめて





ただ、幸いなことに


母が「ダメだなー」と言って頭を叩く事はありませんでした。


忘れていることへの苛立ちはなくなってきているようでした。



認知症で失われた記憶は戻らないのだと思います。


論理的に壊れたハードディスクではなく、


物理的に壊れたハードディスクに近いのです。


取り出せないのではなくて、存在しないのです。



事前に『あなたのことを忘れている可能性があります』とお伝えして


『忘れたことを思い出すことはありません』


と念押ししておくべきだったかもしれません。



まあ、あの状況で冷静でいられる人は少ないでしょう。



どうも、母と会話できるのは私だけになってしまったようです。



ビデオ通話の後で、


「あれはだれ?」


Aちゃんじゃ お兄ちゃん」


「あなたは?」


「僕は息子 Fだよ」


こんなやり取りがありました。


どうも、僕のことを兄と思っていたようです。


だから、面会時によく『Aちゃん』と言っていたのかもしれません。





看護師さんから


「自分の名前もわすれちゃって


お名前はって聞くと


H(父の名前)です』


って答えちゃうんですよ。」


と言われました。



この事は父には言いません。



調子に乗りますからね。


父の事を覚えているのではなく、記憶の入れ違いがおきているのだと思います。






今回のビデオ面会で、Aさんはかなりショックを受けたご様子でした。


相手方の受ける衝撃を考えると


予定していた他の親族とのビデオ面会はキャンセルしようと思います。


今の母と会話が成立するとは思えません。





私は特別なにか対策を考えているわけではないのですが


母との会話に窮する事はありません。


なんででしょうね。


不思議です。








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