母の闘病記 リハビリ編5

 今日は母の面会日でした。


今日の母は不安な表情を浮かべていました。


午前中に看護師さんから電話があり


Fさんちょっと混乱しているみたいなので お話してみてもらえますか」


と言われました。


電話に出た母は


Tエキの クルマがあって ぜいたくな ニホンみたいな じゆう ハッキリできないので ちょっとまって ・・・・・・」


よく喋るのですが、意味をくみ取ることはできませんでした。


『言いたいことが言葉にならない』事に焦りを感じているようでした。



午後の面会時も表情は暗かったです。


いつもの明るさはありませんでした。


母は、ここ数日毎日電話をかけてくるようになっていました。


どうも、携帯電話の使い方の練習をしているようなのです。


電話がつながると


「うまくできなくて どうやるんだっけ どうだっけ」


「ちゃんと繋がっとるよ おしゃべりできてるよ だいじょうぶよ」


「そう もういっかい やってみます」


「じゃあ一回切るね」



といって、数回繰り返し電話をかけてくるのが、日課になっていました。



最初は、ガラケーの通話ボタンを押した後、電話を耳に当てるという事ができず苦労していましたが、


最近は、二回に一回はスムーズに電話に出られるようになっていました。


面会にも携帯電話を持ってきて、使い方を練習していました。


母にとってはまだ難しい操作のようでした。


「もう なにも わからなくなっちゃって だめだなー」


「大丈夫よ ちゃんと使えとるよ 毎日お電話してくれとるよ」


「そう だいじょうぶ?」


「大丈夫よ」



こんなやり取りで面会は終わりました。


別れ際、母は悲しそうな顔をしていました。


「また、お電話してね」


と言って分かれました。





帰宅後に、父が汚したトイレの大掃除をしている間に、母から着信がありました。


10分後に気づいてかけ直したのですが、母は出ませんでした。


看護師さんに電話して様子を聞いたところ


Fさん、携帯電話を持って安そうにしてたんですけど、今は落ち着かれてご飯食べてます」


とのことでした。


明日はこちらからかけてみようと思います。


母は、携帯電話を手に持っていないと電話に出る事はできないようなので、看護師さんにお手伝いしてもらおうと思います。


スマホを渡してきたので、ビデオ通話ができればいいのですが・・・


どうも、スマホの小さな画面は見づらいようでした。


眉間にシワを寄せて


「これは?」


という反応でした。


通話ができるタブレットにしておけばよかったと後悔しています。



母が、


何を不安に思っているのか


何を求めているのか



私も、分からないことだらけです。




追記

母の記憶はかなり戻ってきました。


一時は、『もうすべて忘れてしまったのだ』と思っていたのですが、


最近は、私のことを「F」や「Fちゃん」と呼んでくれるようになりました。


私はもう『忘れられた息子』ではありませんよ!

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