母の闘病記 逃走編 その後 完全敗北

 父には愛想が尽きました。


彼には、『感謝する』という気持ちが全くありません。


キレた父の口癖


「いろいろやってくれて感謝してる『けど』*****」


『けど』がついた時点で台無しなのが分かっていないんでしょうね。



もう、彼に同情することはしません。


保護者として最低限の安全確保はします。


それ以上は何もする気はありません。


好きにしてください。




でもね、母の介護の邪魔だけはさせないから。




さて、逃走の結果です。


日曜日の朝9時にパートナーと家を出ました。


駅の本屋で『大人の塗り絵』を買うためです。


前日のテレビ番組に、リハビリで塗り絵をしているという方が出ていたので思いつきました。


お菓子と花の塗り絵を買いました。



駅で、仕事があるパートナーと別れ長野へと旅立ちました。


今回は焦る要素はないので気楽な道中です。


ただ、眠くて仕方がない。


名古屋で乗り過ごしたら、次は横浜です。


そうならないように必死に目を開けていました。


名古屋で高速バスに乗り換え長野に到着しました。


最寄りのスーパーに近いバス停で降車して、スーパーで父の食料を調達しました。


家まで2.2 km歩いて帰りました。


荷物は重かったのですが、足取りは軽かったです。


だって、懸念要素は皆無ですからね。



20分歩いて家に着きました。


玄関を開けました。



『臭い・・・・・・』


家の中が臭いんです。



父はネット碁をしていて私の帰宅に気づいていません。


台所へ向かいました。


台所のドアを開けた瞬間、異臭が鼻を突きました。



まず最初に、保温ランプが点灯した炊飯器が目に入りました。


もしかして・・・・・



予想は的中しました。


二日前に炊いたご飯が炊飯器の中にありました。



蓋を開けると強い異臭が鼻を突きました。



黄ばんだご飯は一部はカリカリに乾き、一部は液状化していました。



流し台には食器が積み重なっていました。


キッチンワゴンには盆に乗った汚れた食器が並んでいます。


納豆のパック、レトルトのパック、様々なゴミが散乱しています。



『なんだ  これは・・・・・』


私が最後にカメラで見た台所はこんな惨状ではなかったはずでした。


『何を見せられているんだろう・・・・・』



台所に居る私に気づいた父がやってきました。


「帰ってたのか」


「これは 酷いな」


この後、父が取り繕うような事を言ったような気はしますが、覚えていません。


「これは酷いな 腐っとるで」


「そんなことない 今朝も食べた


ご飯は保温してると美味しくなくなるね


硬いところと柔らかいところがあるけど大丈夫」


「はぁ? これ腐っとるで 全部捨てなあかん」


「そんなことない」


「腐っとるわ 洗いもんもしとらんな」



父は居間に戻っていきました。


父は何事もなかったかのようにテレビを見ています。


『片付けてくれる』と思っているのが分かりました。



家を出てから9時間、こんな光景に遭遇するとは思ってもいませんでした。


『もう無理』


二階に荷物を置き、父に


「これは酷いな どうにもならんわ


この台所は使えん カレー屋さん行くわ」



父は『なんのこと?』といった感じで、わかったというジェスチャーをしました。



近所のカレー屋で、1600円のカレーセットを食べました。


できるだけゆっくり食べました。


あそこには帰りたくない。


ここのカレーは美味しくないんです。


私には



本来なら、台所で美味しいカレーを作っていたかもしれないのに・・・・・



もう、ため息しか出てきません。


帰りは、次に食べに来るお店を見ながら、超遠回りをして帰りました。



あの台所では何もしたくない。



家に着いてしまいました。



畑の中の道を爆走したので白いズボンは泥で真っ黒になっていました。



着替えて台所に入りました。


『臭い・・・・』


家を出る前に換気扇を全開にしていましたが、臭いの発生源が残っているので効果はありませんでした。



父はテレビを見ています。



私が台所に居るのに気づいた父が、夕飯をねだりに来ました。


『今日の夕ごはんはなにか』という意味のことを言ったと思います。


「もう食べてきたよ


さっき カレー屋さん行くって言ったじゃろ


こんな台所ではなんも作れん」


「そんなぁ 食べてきたの? 一緒に行けばいいのに」


「腹すいとったんじゃ」


父はテレビを見に戻っていきました。


「夕ご飯どうするん?」


「いや ぼくは 食べなくてもいいくらいだから」


「そういうわけにはいかんやろ うどんでも食べなよ」


「そうか」


使われていないであろう丼に冷凍うどんを入れ、電子レンジで温めました。


ミニトマトを添えて父の夕食としました。


冷蔵庫には作り置きのスープ、トマト、煮豆、茹でた白菜が残っていました。


何が何でも野菜は食べないようです。



うどんを食べ終わった父が食器を下げてきました。


皿にミニトマトが3つ残っています。


「食べんの?」


「もういらない」


「食べなよ」


父は、渋々ミニトマトを食べました。


ミニトマトのヘタを、食器が積み重なった流し台に放り込みました。


「そこに捨てないでよ」


父は『なんで?』という顔をしています。


食器を置いて帰ろうとする父に


「お父さん 洗い物はせんの?」


「・・・・・・」


「これ誰が洗うの こんなん洗うの嫌やで 9時間かけて帰ってきてこれはないわ」


『洗う』という父に食洗機の使い方を教えました。


「これでいいの」


「そうやで 楽ちんじゃな でも、全部は入らんで」


「何回かやったらいいじゃないか」


「二時間かかるんやで」


「そんなにかかるの?」


「そうや その間なんもせんでええんやからいいやろ 残りは手で洗うんやで」


「ぼくは洗ってたんだよ」


「洗っとったら こんな事にはならん」


父は流しの箸を拾い上げ、水道水にちゃちゃっとくぐらせ、布巾で拭きました。


「汚ったない!」


「なんでぇ!」


「ちゃんと洗剤つけて洗ってよ」


「洗剤つけて洗ってたんだよ」


「そう」


父はスポンジにハンドソープをつけようとしました。


このハンドソープは、私が帰りにスーパーで買ってきたもので、父が『食器を洗っていた』ときにはなかったものです。


「それはハンドソープや 手につける石鹸や 洗剤はこっち」


食器用の洗剤がどれかも知らずにどうやって洗ってたのやら。


父の洗い物の手つきはおぼつかなく、全く汚れが落ちません。



実演して見せることにしました。



父は、しばらくそばで見ていましたが


「疲れたから 休んでいい?」


僕のほうが疲れてると思いますよ・・・・・


疲れたと言う年寄りに洗い物をさせることはできません。


地獄の台所を片付けるのに、夜の10時過ぎまでかかりました。


疲れ果てて二階で寝ていると


階下から、父が、


「寝てた」


と言ってきました。


「洗いもん 2時間以上かかったで! 疲れたわ!」


父の反応はありませんでした。


聞こえていないのか 無視したのか。



逃走時


『昼の食器はおいてきた!』


『生ごみもおいてきた!』


『洗濯物もおいてきた!』


『作り置きのサラダは食べつくした!』



と言ったのですが



『昼の食器はそのままだった!』


『生ゴミは腐ってた!』


『洗濯物は増えていた!』


『作り置きは手つかずだった!』



完全な敗北でした。



勝者の父はのんびり風呂に入っています。



もう、限界・・・・


翌日、私は、ストライキを敢行しました。


その話は、次の記事で


























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