顕微鏡観察法:落射微分干渉観察法

顕微鏡徹底カスタマイズガイド

顕微鏡徹底カスタマイズガイド@Amazon


 微分干渉観察はプリズム(ノマルスキープリズム)で光源の光を二つの平行光に分離し、サンプル透過後に再びプリズムで光を合成することで試料透過時に生じた位相の差を明暗として可視化する観察法です。光の波(位相)は合成されると強調または減衰されます。ごく狭い範囲でサンプルを透過した光の間にサンプルによる位相の差が生じると、観察時にはその部分が強調されて観察可能になります。透過微分干渉法ではコンデンサー側と接眼側にそれぞれノマルスキープリズムを設置して微分干渉観察を行います。金属顕微鏡を使った落射微分干渉観察では光源と観察側が同じ側にあるのでノマルスキープリズムは一枚で二役を兼ねるようになります。透過微分干渉顕微鏡は研究用途がメインなので存在する台数が非常に少ない顕微鏡です。そのため、中古市場に出てくることは稀で、出てきても非常に高価です。パーツも同様でなかなか見つかりません。対して、落射微分干渉顕微鏡は工業製品の検査などに使われるため比較的多く存在します。中古での取引量も多く、中古パーツも簡単に見つけられます。
 落射照明の顕微鏡は普段見慣れた状態でサンプルを観察できるので理解しやすく、見たいと思う状態で観察できます。反射光での観察になるので光を透過しないサンプルを観察することになります。光を透過してしまう微生物などは通常の使い方ではうっすら見える程度で観察には適しません。しかし、サンプルの下に鏡を置くことでサンプルを透過した光が再びサンプルを透過して対物レンズに入るため、透明なサンプルも観察可能になることを発見しました。微分干渉観察においてサンプルの下に鏡を置く方法は絶大な効果を発揮し、透過微分干渉法とはまた違った迫力ある像になります。
 Olympus BH-2 BHSはパーツを追加することで落射微分干渉顕微鏡に改造することができるので、その方法と必要パーツについて紹介します。

必要パーツ
Olympus BH-2 BHS筐体
Olympus BH2-UMA投光管
ポラライザー
アナライザー
DICスライダー(ノマルスキープリズム)
レンズ取り付け径26 mmのレボルバー
微分干渉対応対物レンズ

Olympus BH2-UMA投光管
オークションで2-3万円ほどで入手可能です。
手前の四角い部分に明視野と暗視野を切り替えるキューブが入っています。
キューブを単体で手に入れることは難しいので
落札前にキューブが入っている事を確認してください。
前後のパーツを分けて出品されているものを見かけることもあります。
通常では前後に分けられるパーツではないので故障品と思われます。
そのような状態のものは絶対に買ってはいけません。

左:アナライザー
中央:鋭敏色板
右:ポラライザー
アナライザーとポラライザーはどちらも偏光フィルターです。
中央の鋭敏色板は必須ではありません。
微分干渉像に色を付けて像のコントラストを上げることができます。
有ると見た目がきれいになるので入手をお勧めします。
これらのパーツはオークションにも出てくるのですが
私はe-microさんから購入しました。
e-microは中古顕微鏡屋さんです。
販売ページにパーツの項目があります。
ここに出ていないパーツでも探してもらう事ができるので問い合わせてみてください。

左:DICスライダー取り付け金具
中央:DICスライダー
右:微分干渉対応対物レンズ Neo SPlan 5 NIC
DICスライダーと微分干渉対応対物レンズは対になっています。
対物レンズの倍率に合ったDICスライダーを使います。
左のDICスライダー取り付け金具は、レボルバーにDICスライダーを固定するための部品です。
これがないと固定できないので必ず入手してください。
取付金具とDICスライダーはe-microさんとeBayから購入しました。
e-microさんになければeBayを探すといった感じです。
微分干渉対応対物レンズはNeo SPlan NICです。
NICと付いていないものは微分干渉非対応です。
レンズ先端の黒いパーツはレンズに光が反射するのを防ぐフードです。
これが欠落しているのもは購入しないようにしましょう。

Neo SPlan 5 NICとDICスライダー

Neo SPlan 10 NICとDICスライダー

Neo SPlan 50 NICとDICスライダー

Olympusの落射微分干渉対応対物レンズにはMSPlanというシリーズもあります。
Neo SPlanの一つ前のシリーズでレンズ取り付け部はRMSとなっています。
プリズムはNeo SPlanとMSPlanでは異なるので注意してください。

レンズ取り付け径26 mmのレボルバー
e-microさんから購入しました。

上記レボルバーの筐体側

Neo SPlanはレンズ取り付け径が26 mmとなっているので
RMSのレボルバーと交換します。
MSPlanは元のRMSのレボルバーに取り付けられるようです。

Neo SPlan系とMSPlan系のどちらがお勧めかというと
Neo SPlan系がお勧めです。
Neo SPlanのDICスライダーはレバー操作でノマルスキープリズムの出し入れができます。
MSPlanではプリズムは常に入った状態になるようです。
Neo SPlan系であれば、レバー操作で
微分干渉、暗視野、明視野、偏光の各観察法に対応させることが可能です。

BH-2 BHSを落射微分干渉顕微鏡に改造した状態
光源はLED光源です。

BH2-UMA投光管側面
後部の光源の光が
ポラライザー、明視野キューブ、DICスライダー、対物レンズと透過して
サンプルに照射される。
サンプルで反射した光は
対物レンズ、DICスライダー、明視野キューブを通って接眼部に達する。

組み立て方はすぐに分かると思います。
わからない場合は連絡フォームから問い合わせてください。

透明な観察対象を落射微分干渉観察する仕組みです。
スライドガラスを鏡の上に乗せてステージにセットしています。
鏡は100円ショップの手鏡を使っています。
縁の出っ張りを削ってスライドガラスが鏡にピッタリくっつくようにしています。
これだけで透明な微生物を落射微分干渉観察することが出来ます。

落射微分干渉観察した微生物の写真はこちらを御覧ください。




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