Nikon OptiPhot微分干渉仕様での100倍対物レンズの微分干渉対応調査

 カメラアダプターのユーザーM様よりNikon OptiPhotの微分干渉仕様の写真を送っていただきました。微分干渉用の対物レンズが汚れてしまっていたとのことでDIC対応とされていない対物レンズの互換性を調べられています。対物レンズの互換性は非常に貴重な情報です。

Nikon OptiPhot微分干渉仕様です。

鏡筒とレボルバーの間に中間鏡筒(intermediate tube)が組み込まれており、中間鏡筒にアナライザーとノマルスキープリズムが入っています。中間鏡筒のノマルスキープリズムは全対物レンズ共通です。

コンデンサはターレットコンデンサとなっており対物レンズ毎に対応したノマルスキープリズムに切り替えます。

ZeissのAxioSkopでは対物レンズの上にそれぞれノマルスキープリズムを設置し、コンデンサのノマルスキープリズムは高倍率用と低倍率用の二種類でした。

Olympus BX51では微分干渉プリズムの設置パターンはOptiPhotと同じくコンデンサ側に個別のノマルスキープリズムがあり、鏡筒に共通のノマルスキープリズムがあります。

メーカー毎に違うものなのですね。Nikon, Olympus方式の方が原理的には理解しやすいように思います。

微分干渉用ターレットコンデンサ

倍率毎にターレットを回してノマルスキープリズムを入れ替えます。

互換性調査の対象となった対物レンズ

4本の100倍対物レンズで微分干渉観察できるか調査されています。

Nikon Plan 100 NA1.25

Nikon Plan 100 DIC NA1.25

Nikon Plan Apo 100 NA1.40

Nikon Fluor 100 NA1.30

全て100倍の油浸対物レンズです。いずれのレンズも機械的鏡筒長は160 mmです。中間鏡筒が入る分機械的鏡筒長が伸びるのかと思っていたので意外でした。

調査された対物レンズの中でPlan 100 DICのみが微分干渉観察対応です。

果たして他の3本の対物レンズは微分干渉観察に対応しているのでしょうか。


被写体はベニタケ属(Russula)の一種のヒダの組織と胞子(左上の丸いもの)です。

撮影環境

小世界研究所 OptiPhot用カメラアダプター

リレーレンズ Nikon PL2.5

カメラ Nikon D5100

対物レンズ: Nikon Plan 100 NA1.25


対物レンズ: Nikon Plan 100 DIC NA1.25 レンズが汚れているので若干像のコントラストが低くなっています。

対物レンズ: Nikon Plan Apo 100 NA1.40


対物レンズ: Nikon Fluor 100 NA1.30


結果はPlan 100 DIC以外はPlan 100のみで正常な微分干渉観察ができています。

Plan Fluor 100とPlan Apo 100では微分干渉観察はできるが背景に光斑ができてしまうとのことでした。

Nikon Plan 100の視野

Nikon Plan Apo 100の視野 Nikon Fluor 100でも同じように視野に光斑がでるそうです。


この中では一番安価はPlan 100が微分干渉に対応していた事に驚きました。

おそらくNAが1.25でPlan 100 DICと同じだったからだと思われます。

Plan 100 の選別品がPlan 100 DICだったのかもしれませんが、実質Plan 100とPlan 100 DICは同じ対物レンズなのかもしれません。

Plan 100 DICをお探しの場合はPlan 100を試してみるのが良いかもしれません。

Plan 100はこれらの中では最も入手性が高く価格が低い対物レンズです。

Nikonの対物レンズの入手性はあまり良くないのこれだけ多くのレンズで比較するのはとても難しいです。

おそらくメーカーでも持っていないデータと思われます。

貴重なデータをありがとうございました。



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